BAD & BAD【Ⅰ】




しかも、やんちゃな私はよく両親に叱られて叩かれていたから、免疫がついてしまったらしくて。


知らぬ間に鍛えられてしまった私は、気づいた時には、喧嘩すれば敵なしの武闘派女子高生になってしまっていた。




16歳という可憐な年頃の乙女が無敵を誇っていたら、そりゃモテないわけだよ。



一応不良ではなく、フツーの高校生だと自分では思ってるけどさ。


たまーに10日前のように、困ってる人を見かけたら体が動いちゃう癖があったり、小学生の頃いろいろやらかしちゃったりして、“フツー”の地位が危うい。



端的にまとめると、私の家族はことごとく変で、私は超優しい子ってことですな、うんうん。




「あんた、おかしな格好してるわね……。どこに行くの?」


「神雷のたまり場に行ってくる」


「え?あんた、神雷に入ったの?」


「そんなわけないじゃん。偵察だよ、て・い・さ・つ」


「……どうしてあたしと蒼【アオイ】の子どもなのに、こんなにバカっぽいのかしら」


「実の娘に対してひどくない!?」




「蒼」という名前のお父さんと、私をバカと言うお母さんは、私と違って頭が良く、学生時代は成績優秀だったらしい。



両親が天才だからって、子どもがそうなるとは限らない。

そのいい例が、私だ。



なんて、自分で思ってて、なんか悲しくなってきた。


私だって、本気を出せば天才になれるんだから!



ただ、力を抜いてるだけで…………やっぱりやめた。もっとうまい言い訳が思いつかない。



< 28 / 540 >

この作品をシェア

pagetop