BAD & BAD【Ⅰ】
しかも、やんちゃな私はよく両親に叱られて叩かれていたから、免疫がついてしまったらしくて。
知らぬ間に鍛えられてしまった私は、気づいた時には、喧嘩すれば敵なしの武闘派女子高生になってしまっていた。
16歳という可憐な年頃の乙女が無敵を誇っていたら、そりゃモテないわけだよ。
一応不良ではなく、フツーの高校生だと自分では思ってるけどさ。
たまーに10日前のように、困ってる人を見かけたら体が動いちゃう癖があったり、小学生の頃いろいろやらかしちゃったりして、“フツー”の地位が危うい。
端的にまとめると、私の家族はことごとく変で、私は超優しい子ってことですな、うんうん。
「あんた、おかしな格好してるわね……。どこに行くの?」
「神雷のたまり場に行ってくる」
「え?あんた、神雷に入ったの?」
「そんなわけないじゃん。偵察だよ、て・い・さ・つ」
「……どうしてあたしと蒼【アオイ】の子どもなのに、こんなにバカっぽいのかしら」
「実の娘に対してひどくない!?」
「蒼」という名前のお父さんと、私をバカと言うお母さんは、私と違って頭が良く、学生時代は成績優秀だったらしい。
両親が天才だからって、子どもがそうなるとは限らない。
そのいい例が、私だ。
なんて、自分で思ってて、なんか悲しくなってきた。
私だって、本気を出せば天才になれるんだから!
ただ、力を抜いてるだけで…………やっぱりやめた。もっとうまい言い訳が思いつかない。