BAD & BAD【Ⅰ】
そうですよ、バカですよ。
師匠とはまた系統の違うバカですよ。
自覚してますけど、何か?
「じゃあ、行ってくる」
「遅くなってもいいわよ」
「普通逆じゃない!?」
「いいじゃない。生きてればそれでいいわ」
私の家は、自由尊重をしすぎてる放任主義。
これは、私が望んだこと。
自由でいたかった。
縛られたくなかった。
――私の心にトラウマを刻み込んだ、あの時から。
「行ってらっしゃい」
「行ってきまーす」
お母さんに見送られながら、玄関の扉を開けて家を出た。
茜色の空の下、最短距離で神雷のたまり場へ向かう。
冷たい風が、私の細い髪をさらった。