BAD & BAD【Ⅰ】
「大丈夫っすか~?」
「あ、ああ。君達、どうもありがとう」
すっかり作戦を忘れている師匠の代わりに、首長に手を差し伸べたのは、意外にも弘也だった。
あいつ……おいしいところを持っていきやがって。
でも、ナイスフォロー!
「さっきの奴らや、他にも平和を乱す野蛮な奴らを見かけたら、僕達がきちんと矯正しておきますね~」
「あ、この際どうです?俺達と一緒に、悪人更生計画を始めてみるというのは」
弘也が神雷の使命をさりげなく示した後に、たかやんからの共同プロジェクトの誘い。
よっし。不自然さが一切ない、連携プレーだ。さすが双子!
隠密に不良撲滅計画を企てていた首長に、あえてこちらから新しく、より良い計画を持ちかけることにより、
神雷は正義感のある真面目で良い子達ばかりなんだと、印象づけられる。
不良ではなく悪人。
撲滅ではなく更生。
それが、私が考えた新プロジェクト。
「……ま、前向きに検討してみよう」
「ありがとうございます」
さすがに、ここではまだ曖昧か。