BAD & BAD【Ⅰ】
「あ、そうだ。ねぇ、剛」
「ん?」
「戻ってくるんでしょ?」
「え?」
「神雷に」
私の問いかけに、剛は俯いて黙ってしまった。
あれ?違うの?
てっきりそうだと思ってたよ?
「どんな理由であれ、俺が裏切った事実は変わらねぇ。そんな簡単に戻っていいわけ……」
「いいんじゃない?」
「へ?」
すっとんきょうな声を漏らした剛に、思わずクスッと笑みをこぼす。
「戻りたければ戻ればいいじゃん」
「で、でも」
「あんたが戻りたいのと、あっちが受け入れてくれるかは、また別の話でしょ?」
今まで自分の気持ちを奥底に沈めてきた分、これからは優先してあげなよ。
もう、ためらわなくていい。
素直になりなよ。