BAD & BAD【Ⅰ】
「神雷に戻りたいんじゃなかったの?」
「も、戻りてぇけど、実際に行くとなると……」
「だらしないなぁ。あんた、それでも男?」
「男が全員お前みたいに前向きだと思うなよ!?」
「私が男だという前提で話さないでくれるかな?」
何度も言ってるよね?
私は、正真正銘女だ!
失礼な奴だな、まったく。
私はムッと唇を尖らせながら、髪をゴムでくくっていつもの男装姿になる。
「ほーら、男じゃねぇか」
「……右半分の髪もハゲちまえ。そしてそのまま朽ちていけ」
屁理屈言うんじゃない!
これは男装であって、男設定であって、本当の男になったわけじゃないっつの。
歩幅だけじゃなく中身まで小学生になったのか、アホが。
「私がイケメンだからってひがむな。みっともないぞ」
「これっぽっちもひがんでねぇよ」
「素直じゃないなあ」
「調子にのんな、自意識過剰」
「誰が自意識過剰だ!!」