BAD & BAD【Ⅰ】
「剛は、私の偉大さをわかってないな?」
「あ、着いた」
「無視すんな!」
……って、もう着いたの?
いつの間にか、会話のテンポに乗じて、歩くスピードが速くなってたのかな。
正面にそびえ立つ、オカルトさが漂う洋館。
何度見ても、ボロいな。
こんなに汚い外装なのに、中は眩しいくらい輝いてるし。
いろんな意味で、詐欺ってるよね。
「中入ろ、ご…………う」
「お、おおおお、おおお、おう」
「『お』多すぎ。とりあえず落ち着け」
隣の剛は、地震でも発生させてしまいそうなほど、震えていた。
ガクガクブルブル、全身がこ刻めに揺れてる。
こっちにも振動が伝わってくるんですけど。