BAD & BAD【Ⅰ】
全然「返せ」って言って来ないんだもん。
私の物にしちゃおうかと思ってたよ。
「一体何を聞かせたんだ?」
「聞きたい?」
剛は素直に頷いた。
ならば聞かせてしんぜよう!
音量を大きくして、再生ボタンをポチッと押した。
『だから俺は、おじいさま側に付いたフリをして、おじいさまの残虐な一面を残した証拠を公にしようとしたんだ。まあ、裏切り者になってまでおじいさまの目を欺きながら集めた証拠は、無意味も同然だったらしいがな』
『首長の本性が暴かれれば、計画も水の泡になって、不良達も元に戻るって考えたわけか』
『ああ、そうだ。鷹也達が俺を助けてくれたみてぇに、今度は俺が皆を助けたかったんだ』
洋館に反響する、私が剛ん家に行った時にしてくれた、剛の告白。
「いつの間に録ってやがったんだ!?」
「企業秘密です」
やっぱり録音してたことに気がついてなかったんだね。
私のプロ技、すごいでしょ?