BAD & BAD【Ⅰ】
「皆に作戦内容を教えた時に、ついでに聞かせたんだ。つ・ま・り、あんたの本音は皆とっくに知ってたってわけ」
「っ、」
「コレ聞いた時のたかやんと弘也が、特にやばかったなぁ。ボロ泣きでさー」
「ちょっ、それもトップシークレットだからー!!」
「弘也、恥ずかしいの?」
大宮ツインズの顔面は、ひどかった。
泣きすぎて真っ赤に腫れた目とか、鼻をかみすぎて目と同様に赤くなった鼻とか。
とにかくひどかった。別人かと思ったもん。
剛とは会ったことのないはずの師匠も、なぜかもらい泣きしてたっけ。
私の思惑通り、ガキは録音した音声の真偽に関わらず、やすやすと受け入れてくれる。
特に、神雷のメンバーは騙されやすいから、疑われることなく楽勝だった。
「我慢できずにボロボロ泣いちゃうくらい、皆、あんたのことを大事に思ってるらしいよ」
「み、皆……っ」
今度はあんたが泣く番だ。
私がさっきした推測、当たってたみたいだね。
「おかえり、剛」
たかやんが優しく微笑みながら、拳を突き出した。
剛は涙を拭って、その拳に自分の拳をコツンと合わせる。
瞬間、皆が一気にはしゃぎ出した。