BAD & BAD【Ⅰ】
皆に背を向けて、洋館の扉をギィ……と軋ませながら開ける。
扉の隙間から差し込んだ日差しが、視界を照らした。
あぁ、そういえば。
私が神雷に入って、今日でちょうど3ヶ月だ。
時が過ぎるのは早いな。
たった3ヶ月、されど3ヶ月。
めちゃくちゃ振り回されたし、疲労を感じない日はなかったし、うるさくて仕方なかったけど、すごく楽しかった。
濃くて、激しくて、カラフルな3ヶ月を、私は一生忘れないだろう。
もし忘れちゃったらごめんね。
「幸珀……!」
ここで副総長が私を呼ぶなんて、意外だ。
振り向いて、乾いた笑顔を顔に貼り付ける。
「私、神雷やめるね。バイバイ」
じゃあね、皆。
こんなひどい私を、許さなくてもいいよ。
ズタボロに罵ってもいいよ。
でも、どうか……どうか。
これからも、時々、皆のことをほんのちょっとだけ、想わせてほしいな。
忘れてなかったらだけど。
そして、――バタンッ。
扉は光を拒むように、重く固く閉ざされた。