BAD & BAD【Ⅰ】
真修も、知っていた?
あ、そうか。真修は幸珀と幼なじみなんだったな。
「そういえば、僕も最初は、幸珀が女だって見破ってたんだっけ~」
「俺も作戦前から知ってた」
3ヶ月前を回想しながらボソッと呟いた弘也の近くで、剛も真修に続いて吐露する。
弘也も剛も気づいていたのか。
女たらしな弘也と勘のいい剛なら、ありえるか。
「俺も、幸珀の正体を知ってた」
「鷹也まで!?」
戸惑いを纏った桃太郎の視線が、俺に移される。
桃太郎の動揺が伝染して、再び全体がどよめいた。
「なんでお前ら黙ってたんだよ!!」
叫び足りなそうに食いしばった桃太郎が、昔の俺と重なって見えた。
あの悪夢の日、俺も苦しさをごまかそうとした。
弱音を心の深くに押し込んで、悲しみと怒りを必死にこらえて。
けれど。
それじゃダメだと、俯いていたらずっと同じままだと、幸珀が冷めたコーヒー付きで教えてくれた。