BAD & BAD【Ⅰ】
本日行われる予定だった剛の歓迎パーティーは、幸珀のこともあって、急遽中止になった。
そのせいで、チョコケーキを食いそこねた。ちくしょう。食いたかったのに。
でも、パーティーに幸珀がいないと楽しめないから、仕方がない。
今日は我慢してやる。
「ねぇ、凛は幸珀の正体に気づいてた?」
「……」
「……そっか、気づいてたんだ」
「!?」
俺、何も言ってねぇ。
なのに、わかったのか?
なんだよそれ、最強じゃねぇか。
「え、エスパー?」
「あはは、違う違う!」
「じゃあ、なんでわかったんだ?」
「なんとなく、かな」
「すげぇな、お前」
「そんなことないよ」
京は照れくさそうに目を細めた。