BAD & BAD【Ⅰ】
空振りロンリネス
夏休み初日の朝。
間違えてセットしてしまった目覚まし音が、耳元で眠気を吹き飛ばす。
「うるっさい!!」
反射的に目覚ましを鷲掴んで投げ飛ばそうとしたが、寸前でなんとかストップした。
危うく目覚ましを壊すところだった。
ごめんよ、目覚ましさん。
いい子いい子してあげるから許して。
「……睡魔に勝てちゃった」
いつもは目覚ましが鳴っても聞こえていないか、無意識に止めてるかのどちらかなのに。
今日は鳴った瞬間に目が冴えた。
睡魔に勝てたのには、理由がある。
うまく寝付けなかったからだ。
珍しく、眠くならなかった。
たかやんが聞いたら、びっくりして目ん玉が飛び出しちゃうかもな。