BAD & BAD【Ⅰ】
お母さんと会話のキャッチボールを、時々変化球を混ぜながら、高速で交わしつつ、大好きな和食を食べる。
甘い卵焼きも焼き魚もなめこ汁も、美味しすぎる。
朝食の美味さに免じて、お母さんが私を傷つけたことは無かったことにしてやろう。
寛大だな、私って。
「あ、そうだ。牛乳と醤油がなくなっちゃったんだったわ」
「ふーん」
「幸珀、神雷やめて、暇よね?」
「暇じゃないよー。今日は朝から晩までゲームをしようって決めてるんだっ!」
「そう、つまり暇なのね。じゃあ、いつもの牛乳と醤油、買ってきてくれる?」
お母さんに拒否権は通用しなかった。解せぬ。
そうして、
私は朝食を食べ終わり次第、お母さんのおつかいのため、支度をして家を出て行った。
髪は、左サイドの高めの位置でひとつに結って。
服は楽ちんな黒のオールインワン、靴も黒のサンダルにしてみた。
暑い夏にも、面倒くさがりな私にもぴったりなコーデだ。