BAD & BAD【Ⅰ】
家に帰ると、お母さんが玄関で靴を履き替えていた。
「ただいま。はい、買ってきたよ」
「おかえりなさい。おつかいありがとうね」
「どういたしまして。お母さん、どこか行くの?」
「ちょっとハガキを出しにね」
お母さんの手には、懸賞のためのハガキがあった。
私は牛乳と醤油が入った袋を渡して、代わりにハガキをもらう。
「私が出しに行ってくるよ」
「いいの?」
「ポストに入れてくるだけだし」
多分、今ゲームしても、集中できそうにない。
軽く散歩してきた方が、気分転換になりそうだ。
「じゃあお願いするわ。行ってらっしゃい」
「行ってきまーす」
そして、私はハガキ1枚を持って、また家を飛び出した。