BAD & BAD【Ⅰ】
この不穏な空気を変えられる、いいアイデアは……。
「桃太郎って、ほんとに副総長のこと大好きだよね」
考えた末に頭に浮かんだのが、それだった。
言ってから、後悔した。
超どうでもいい話題じゃん!!
なんで私はそれを口に出してしまったんだろう。
「……い、いきなりなんだよ。もしかして、お前も凛さんに憧れてんのか?」
あれ?桃太郎の怒りが、鎮まった?
さっきまであんなに敵意むき出しだったのに、瞬く間に機嫌がよくなっていく。
単純にもほどがある。
「ま、まさか、俺の立場を盗もうとして男装を……!?」
「違う違う」
「真顔で言われると、それはそれでカチンとくんな」
じゃあ、一体どうすればいいのさ。
盗むつもりだったよ、って言えばよかったわけ?
桃太郎の立場って、副総長の犬、だよね。
そんな立場は、たとえ貢がれたとしても願い下げだ。