BAD & BAD【Ⅰ】
「桃太郎は、なんで今の立場をそんなに気に入ってるの?というか、なんで副総長に憧れてるの?」
「やっぱりお前、俺より凛さんに気に入られたいがために、俺らを騙してまで敵情視察してたんじゃねぇのか!?」
「ただ疑問に思っただけだっつの」
気まずさに耐えられなくならないように、会話を繋げてあげてるのに、被害妄想も甚だしいな。
しつこいよ、桃太郎。私があの脱力男子を慕うわけないでしょ。
私には、もうとっくに「師匠」と呼ぶべきお方がいるんだから。
「桃太郎の方が年上でしょ?それなのに、年下の副総長をそこまで慕う理由がわかんないなぁ」
「年齢は関係ねぇよ」
そういう風に考える人もいるし、神雷では年齢は重要視されてないようだけど、私は年齢関係大あり派だな。
年下なら、私の背中を眺めて尊敬してほしい。それで、ちやほやしてほしい。「幸珀先輩」って呼んでほしい。唄子ちゃんみたいに。
あぁ、後輩が私を寵愛して敬う世界とか、何それ最高かよ。
「年下だからって、凛さんが俺の救世主だってことは変わんねぇ」
「救世主?」
「俺を救ってくれた凛さんが、世界で1番素敵でかっこいい、男の中の男だと思って何が悪い!あ!?」
比喩の規模がでかくなったと思ったら、逆ギレしてきた。