BAD & BAD【Ⅰ】
天パのチビが目をつり上げながら、私を指差す。
どうぞどうぞ、お好きにしてください。
認められようが認められまいが、私にはどうだっていいんで。
「お前みたいな怪しい奴が、神雷に入るなんて俺は許さねぇぞ!」
怪しい?私が?
こやつ、早くも私が偵察に忍び込んでることに気づいたのか!?
「わた……」
おっと、「私」って言いかけちゃった。
私は今男装してるんだから、男らしく話さなくちゃ。
「ぼ、僕は怪しくなんてないけど?」
「嘘だ!長髪の奴は裏切るって決まってんだよ!」
アホらしい偏見だな。
全世界の長髪男子に謝れ。
「そうでなくても、うちにはもう既に1人面倒な奴が……」
「僕のこと呼んだー?」
天パのチビが顔を歪めながらそう呟いた直後、後ろから開きっぱなしだった扉が閉まる音と共に、軽い声が聞こえてきた。