BAD & BAD【Ⅰ】
痛い。すごく痛い。
やっぱ、マッチョくんの拳、重たいな。
ほっぺ、青くなってないといいな。
でも、これで。
「ここからは、正当防衛だから」
思う存分、やり返せる。
作戦決行といきますか。
早速殴り返そうと、右腕を振り上げた。
しかし。
――ドカッ!!
鈍い音が響き、否応無しに動きが硬直した。
え?
「うぐぁ……!!」
マッチョくんが地面に倒れてようやく、マッチョくんが誰かに殴られたのだと把握できた。
私の胸ぐらを掴んでいた、マッチョくんの右手から解放されたが、安堵の息はこぼれない。