BAD & BAD【Ⅰ】
「無事でよかった」
胸の奥が、くすぐったい。
守るのはいつものことだけど、守られるのは慣れていないからだろうか。
ほんの少し、体温が上がった。
「怪我してんな」
「これくらい平気だよ」
そう返しても、副総長は目に見えて激昂する。
「やっぱ、もっかい殴ってくる」
「めんどくさくなるだけだからやめて!!」
マッチョくんが逃げていった方向に行こうとした副総長の腕を、両手でぎゅっと握る。
精一杯説得したら、渋々留まってくれた。
「右頬、痛むか?」
副総長の大きな左手が、私の右頬に触れた。