BAD & BAD【Ⅰ】
Bくんが同じクラスだということにすら、気分を害す。
『ちょっと、あんたら』
『あ?なんだよ』
クラスメイトがほぼ全員見て見ぬフリをしている中で、私だけが唯一、威張っているBくんに声をかけた。
『いじめるなんて最低。今すぐやめて』
『チッ、でしゃばんじゃねぇよ!たかが風紀委員の分際で』
『そうだよ、私はえらーい風紀委員なの。だから言うこと聞いて』
『優等生ぶってんじゃねぇよ!!』
ぶってるんじゃない。優等生なの。
どれだけ反抗しても退かない私に、Bくんはどんどん不機嫌になっていく。
短気だなぁ。
この程度で怒ってたら、この先やっていけないよ?
自分勝手で理不尽で、自分の思い通りにならないと気が済まない、わがままなおこちゃま。それが、Bくん。
対してAくんは、引っ込み思案で気弱でおとなしい、メガネが似合う泣き虫。
いじめに巻き込まれないように他人のフリを続けて、周りに合わせている、自分第1のクラスメイト。
まさか、もうすぐ5年生になるこんな時期に、このクラスの脆い本性があらわになるとは思わなかった。