BAD & BAD【Ⅰ】
委員長なら、解決先がわかるかもしれない。
私は委員長に期待と希望を託して、クラスでのいじめの件を相談した。
『それで、どうすればいいのかわからずに悩んでいるのか』
『はい……』
全て話し終えると、委員長は顎に手を添えて、考える素振りを見せた。
短い静寂が漂う。
委員長の薄い唇が、『じゃあ』とかすかに動いた。
『ヒーローか悪役になればいいんじゃねぇの?』
『ヒーローか、悪役に?』
『ああ』
どういうこと?
大きく首を傾げる私に、委員長が詳しく説明する。
『例えばヒーローなら、やめろって注意するだけじゃなく、助けたい人のために矛や盾になってあげるんだ』
『悪役なら?』
『そっちはあんまりおすすめしたくねぇけど、いじめてる側にいじめられてる側と同じような目に遭わせるんだ』
『私、どっちかといえば、ヒーローになりたいです』
『悪役になりたいとか言いだしたらどうしようかと思ってたぜ』