BAD & BAD【Ⅰ】
話し合いが始まった。
話し合いといっても、ほぼ私に謝罪させるだけの、価値のない内容だった。
『どうして息子を殴ったの!?』
Bくんの母親のヒステリックな問いかけが、ぶつけられる。
『息子をいじめて、怪我させておいて……よく平気な顔して座ってられるわね!』
BくんがAくんをいじめてた事実を、知らないんだろうな。
先生はクラスメイトに聞いているはずなのに、教えなかったんだ。
『謝りなさいよ!』
『……謝ってほしいの?』
ジロリ、とBくんを見据えれば、顔面蒼白になって頭を振った。
でしょうね。
私が謝っても、Bくんに本心だとは思ってもらえず、逆に「何か企んでるんじゃないのか」とネガティブ思考を植え付けるだけ。
『ちょっと、あなた!うちの息子を怖がらせ……』
『謝りなさい、幸珀』
Bくんの母親の怒声を遮って、お母さんが凛とした口調で言い放った。
お母さんにそう言われるとは、想像していなかった。