BAD & BAD【Ⅰ】
私が“悪”になったきっかけは、“あの日”——私が悪役になった日。
けれど、実際に“悪”に溺れていったのは、クラスのいじめが片付いた翌日だった。
――プルルルルル。
スマホの着信音で、目を覚ました。
久し振りに“あの日”の夢を見たなぁ。
Bくん、本当にイラつく。あの時、もっと殴っとけばよかった。
正午過ぎまで眠っていた私は、ぼうっとしながらスマホに手を伸ばす。
電話がかかってくることは滅多にない。
誰からだろう。
目をこすりながら、電話に出た。
「もしもしー?」
『幸珀!?』
「……し、師匠?」
一気に目が冴える。
え?電話かけてきたの、師匠なの!?