BAD & BAD【Ⅰ】
スマホの画面を確かめたら、確かに「師匠」という文字が表示されていた。
寝ぼけてて画面見てなかった!
うっかり電話に出ちゃったよ。
今は気分的に、できる限り神雷のメンバーとは関わり合いたくなかったよ!
師匠、空気読んで?私の立場を察して!?
気軽に電話なんかかけてこないで!!
このまま切っちゃおうかと思った、直後。
『た、助けて、幸珀!!』
媒体を通じて届いた、師匠からのSOS。
助けてって……え?
心臓がバックンバックン、と不穏に、えぐるように高鳴る。
「し、師匠、どうしたんですか!?」
『洋館に敵が襲撃してきて、神雷が危ないんだ!』
あの最強と謳われている神雷が、危ない?
そんなに敵は手ごわいの?
焦りを含んだ師匠の声の奥から、鉄パイプで床を叩きつける鈍い音が聞こえてきた。
『っ、幸珀、助け……う、うわあああ!!』
「師匠!?師匠、返事してください!師匠!師匠!!」
叫び声を上げた師匠から応答がないまま、電話は途中で途切れてしまった。