BAD & BAD【Ⅰ】
涙色リスタート
師匠からの電話が運んできた、救援の要求。
私は起き上がって、スマホをベットの上に放り捨てた。
「行かなくちゃ」
師匠を、皆を、助けたい。
助けなくてはいけない。
衝動に駆られて、自分の部屋を飛び出していた。
私、何やってるんだろう。
私は神雷を抜けたのに。
私は神雷の悪役になったのに。
どうして。
疑問になっていない愚問が、思考回路をグルグル巡っている間にも、足は止まらずに動き続けている。
はぐらかしていても、欺いていても、本心は明瞭に浮かび上がっていた。
急いで靴を履いて、「行ってきます」も無しに家を出る。
お母さんの「行ってきますはー!?」と叱責する声をシャットアウトするかのように、玄関の扉を閉めた。
神雷のたまり場に急がなくちゃ。