BAD & BAD【Ⅰ】
呆れ果てた私は、凛をあきらめることにした。
何が頼んだぞだ。
責任放棄しやがって。くそ。
1人でたまり場へ向かった私の背中を眺めながら、凛がうっすらと口元を緩めたことを、私は知る由もない。
繁華街を通り抜け、神雷のテリトリー内に踏み入れた。
蒸し暑さに負けずに、太陽の熱い光を浴び、風を切りながら駆けていく。
これがマラソン大会だったら、ぶっちぎりの優勝間違いなしだ。
パーカーを着ててよかった。運動に適してる。走りやすい。これを選んだ私ってさすがだわ。
「はぁ、はぁ……。つ、着いた……」
ようやく、洋館前にたどり着いた。
疲れたけど、休息してる余裕はない。