BAD & BAD【Ⅰ】
額を流れる汗を拭って、洋館の古びた扉を勢いよく開けた。
「皆、無事!?」
「幸珀、来てくれたんだね!」
私の登場に、電話をかけてきた師匠が嬉しそうに目を輝かせた。
だが、今の私の耳に、師匠の無垢な声は入ってこない。
「こいつら、何!?」
ホールでは、神雷の幹部以上の師匠と桃太郎とたかやんが、
黒のシンプルな覆面マスクをかぶった奴ら数人と闘っていた。
誰なの、こいつら。
なんで敵が覆面してるの?身元の判明を避けるため?
覆面マスクつけて闘うとか、普通に怖いわ!!
しかも、どうやら電話で言っていた通り、神雷側が苦戦しているらしい。
凛と同様に下っ端達は、こんな時に限ってどこほっつき回ってんの!?
真修率いる下っ端組がいれば、人数で圧倒できるのに。