BAD & BAD【Ⅰ】
……ん?
最強暴走族の神雷を窮地に追い込んだ覆面軍団が、一発で倒れた?
私が無敵の女子高生だからって、神雷が苦戦していた相手をたった一発で簡単に伸しちゃうなんて、さすがにありえない。
どう考えてもおかしい。
違和感が、降り積もっていく。
そもそも、こいつらの正体って一体……。
恐る恐る、私にまたがられている敵の覆面マスクに手をかけた。
覆面マスクを取られそうなのに、敵は嫌がる素振りを全く見せない。
いいの?取っちゃうよ?
本当にいいのね?
緊張感を抱きながら、慎重に覆面マスクを剥ぎ取った。
「えっ、さ、朔!?」
「お、お久~、幸珀。……つか、いきなり頭突きとかひどすぎだろ」
覆面マスクの下に隠れていたのは、どこからどう見ても、私の幼なじみである、朔の整いすぎてる美形な素顔だった。
な、なんで、朔が?
俺様な性格がとうとう頭のネジに影響したせいで、こんな無益な喧嘩をもたらしちゃったの??
「おーい、お前らもマスク取っていいぞー」
朔が額を抑えながら他の覆面軍団にそう告げると、私が倒したはずの敵が軽々と起き上がり覆面マスクを脱いだ。