BAD & BAD【Ⅰ】
「あれは、ただお前のこと見てるだけだ」
「見てる、だけ?」
あんなに怖い目つきなのに?
見てるだけ?
そんなまさか。
「凛さんはな、全力を出さない無気力な人なんだよ!」
誇らしげに紹介してくれたのはありがたいけど、それって長所なの?
「無気力だから、普段は大抵瞼は半開きなんだ」
「へえ。じゃあ、目を全開に開いてみてください」
天パのチビの説明に好奇心がうずいた私は、アイスマンに拒否されるのを覚悟で頼んでみた。
アイスマンは小さく頷くと、瞼を持ち上げた。
……プラス、なぜか口角も上がった。
「こ、口角はいいんですよ?」
「瞼を全開にしたら、口角も上がるんだ」
アイスマンは力のない声色で、そう言った。