BAD & BAD【Ⅰ】
「私が皆を騙してたから、その仕返し?」
「違うよ。幸珀が洋館に来やすいように、黒龍にも協力してもらって、危険な状況を演出したんだよ」
師匠が真剣に話してくれた。
わからないことだらけのこの事態を、ひとつずつ答え合わせしていく。
「幸珀を試すには、これが1番効果的だと思ってな」
「先週いきなり鷹也から連絡もらった時は、びっくりしたぜ」
「付き合ってくれてありがとな」
「まあ、俺ら黒龍も退屈してたし、いい暇つぶしになったぜ」
たかやんと朔は、先週を回想しながら破顔した。
ドッキリのアイデアの提案者は、たかやんらしい。
「ちなみに、幸珀をすんなり騙せて、ドッキリを成功させられたのは、俺の演技指導のおかげだから」
女優の息子である朔が、皆の演技力を高めてくれたのか。
なるほど。それで、皆、迫真の演技だったのか。特に師匠と弘也には恐れ入ったよ。
それに、大根役者な桃太郎をよくあそこまで指導できたな。あっぱれ。