BAD & BAD【Ⅰ】
じわじわと、火照った涙がこみ上げてきた。
ずるいなあ。
こんな形で試すなんて、本当にずるい。
必死に偽っていたものが、全部見抜かれてしまった。
……見抜いて、くれた。
どうしよう。涙腺がゆるゆるだ。
みっともなく、泣いてしまいそう。
大粒の涙が一滴こぼれ落ちた瞬間、洋館の扉がバーンと開いた。
「あ、終わっちまってる」
洋館内に入って来たのは、凛だった。
今頃来たのかよ!遅いわ!
涙が引っ込んじまっただろうが!!
ドッキリが成功した印である看板を真修が持っていて、全てを察した凛は、私を見据えて親指を突き立てた。
「幸珀、合格」
「え?」
それには、聞き覚えがある。
4月20日に私が神雷に入ることとなった、きっかけのひとつである言葉だ。