BAD & BAD【Ⅰ】
「てめぇ……!」
「おい、そこ!掃除することも考えてやれよ!?」
やり返そうとした剛に、清掃隊長のたかやんがガミガミ注意する。
ププッ、怒られてやんの。ざまあ。
「ほんと、幸珀は昔から成長しねぇな。大人気ねぇっつーかなんつーか」
「朔も昔から変わってないよ?」
「総長は昔からこんなにかっこよかったんすか!?」
「うーん、かっこいいというか、報われなくて意地張ってるところがかわ……」
「真修、それ以上言うな」
銀から送られてくる憧れビームに耐えながら、朔は真修の口を片手で塞いだ。
私は剛から逃げて、広間の真ん中へ移動した。
そこで、桃太郎がサイズの大きなチョコレートフォンデュで、凛に喜んでもらおうとしていた。
案の定、凛は、ダークブラウンの瞳を輝かせている。
「桃太郎、お前天才か?」
「それほどでも……」
「俺は今、最高に喜んでいる」
わざわざ言わなくても、多分全員察してるよ。
だって、目が全開だし、口角が限界まで持ち上げられてるし。
わかりやすすぎだろ。