BAD & BAD【Ⅰ】
前は師匠のために神雷に入った。
でも、今回は他の誰のためでもない、私のため。
私が、入りたいから入った。
自分の意志で、戻ってきたんだ。
「また仲間としてよろしくね、幸珀」
師匠は屈託なく笑って、自分のコップを少し前に出した。
信じてる気持ちを言わなくたって、ちゃんと伝わってる。
精一杯欺いたって、結局真実を見破られる。
そばにいるだけで、楽しさを共有できる。
それが、仲間という存在。
「はい、こちらこそ」
私は頷きながら、師匠のコップに自分のコップを軽快に当てた。
コップとコップが交わった、この甲高い音が、きっと合図。
――もう一度ここから、新たに始めよう。