BAD & BAD【Ⅰ】
嫌なわけないでしょ!?
そうじゃなくて、あんたは手が早いんだよ!
少女漫画読んで勉強してこい!
すると、ベランダに桃太郎がやって来た。
「凛さー……」
私と凛の攻防に、目がかっぴらかれる。
数秒してから、なぜか私をキッと睨みつけてきた。
「幸珀てめぇ、なに凛さんを襲ってんだ」
「どこをどう見たらそう見えるの」
どつくぞ、こら。ひいき目すんな。
襲われてるの、完璧私の方だよね?
デタラメ言わないでよ。
指の骨を鳴らして、怒りレベルを表している桃太郎にボコられる前に、ここから逃げなくては。
「凛、いい加減にしてっ!」
私は凛の顔を全力で押しのけて、俊敏に屈んで凛の腕の下をくぐり、凛のトラップから脱出した。
危なかった~。