BAD & BAD【Ⅰ】
その下っ端になりたくない理由はどうなのよ。
「あ、えっと、できれば下っ端がいいなー、なんて」
おずおずと手を上げた私に、パッツン男は一気に上機嫌になる。
こうなったらやけだ。
神雷に入ってやるよ。
「お前、いい奴だな!」
パッツン男が私の手を握って、ぶんぶん上下に振った。
あんたのためじゃないから。
幹部なんかになっちゃったら、目立っちゃうじゃん。
私が女だとバレてややこしいことにならないためにも、地味に過ごしたい。
……というのは建前で、本当は幹部なんて役職になったら、いろいろめんどくさくて嫌だからなんだけどね。
「じゃあ、自己紹介するよ」
パッツン男が私から手を放したと同時に、師匠が口を開いた。
「俺の名前は弥生京。高校3年の18歳。一応総長だけど、俺も君と同じで最近入ったばっかりなんだ。新人同士、よろしくね!」