BAD & BAD【Ⅰ】
チラッと凛の方を一瞥したら、凛の手のひらが私の頭を包み込んだ。
好き、だなあ。
凛の温度を感じる度、胸の奥がきゅぅっと縮こまって、熱くなっていく。
苦しいのに、その苦しさを愛おしいと思う。
ずっとそばにいてほしい。
その願いは、淡く消えてしまわずに、どうか鮮明に輝きを増していきますように。
「見つけたぞ、神雷!!」
ふと、背後から荒々しい声が突き刺さった。
……人が珍しく愛について真剣にモノローグを語っていたのに、割って入ってきたのはどこのどいつだ!?
乙女チックムードをぶった切った罪は重いぞ!!
殺気立ちながら、振り返る。
背後にいたのは、先程桃太郎に瞬殺された、太った男と細身の男だった。
しかも、2人は殺られたことをすっかり根に持っていて、多くの不良を引き連れていた。
仲間を連れてきやがった……。
チビなちょろ犬になすすべなく倒されたのが、そんなにショックだったのか。