BAD & BAD【Ⅰ】
「おいこらデブ、今度は何の用?」
モノローグを遮られて不機嫌な私は、一刻も早くこんな茶番を終わらせたくて、太った男にガンを飛ばした。
「デブって言うんじゃねぇ!」
「じゃあ……ぽっちゃりくん?」
「ぽっちゃりくんもやめろ!!」
その体型、気にしてたのね。
でも、大丈夫。世の中にはデブ専の人もいるから!へこまないで。私は違うけど。
「まーた殺られに来たのー?懲りないねぇ」
「ハッ、違ぇよ。今度はお前らを殺りに来たんだよ」
「人数増やしたって、僕達には勝てないよ~?」
「んなの、やってみなくちゃわかんねぇだろうが」
通常運転な弘也が、細身の男にゆるーく現実を教えてあげたが、細身の男は人数で圧倒できると信じきっていた。
人数が増えたと言っても、相手はたったの20人程度。
私達神雷側8人に対し、それはちょっと少ないんじゃない?
多勢に無勢、なんて言葉があるけれど。
それを実践したければ、最低でも50人は集めなければ、対等にはなれないだろう。