BAD & BAD【Ⅰ】
こうなったら、あとでいろいろパシってやる。覚えてろよ。
「早くしろよ」
「黙れ、ちょろ犬」
「んだと!?」
桃太郎に怒りをぶつけながら、ぽっちゃりくんに肘鉄を食らわした。
緩んだ腕を両手で掴みながら、柔道有段者の剛の真似をして、ぽっちゃりくんを地面に投げ飛ばす。
手を払いながら、ふぅ……と軽く息を吐いた。
「人質に私を選んだこと、後悔したでしょ?」
私だって神雷の一員なんだから、これくらいできる。
でも、助けてほしかったの!守ってもらいたかったの!
皆、私のわがままに付き合ってくれてもよかったんじゃないの?
「さっすが、幸珀クン。やるねぇ」
「どうも」
含み笑いしながらからかってくる弘也を、きつく睨みつける。
今の私は、かわゆい幸珀ちゃんだっつの。
「皆、私を助けなかった罰として、何か1つ奢ってね」
「はあ!?」
「よろしく」
声を上げたたかやんに、イタズラな笑みを向けながら、いーっと唇の両端を横に引っ張った。
仕返しだよ。
皆が助けようとしなかったのが悪いんだからね。
たっぷりパシってやるから、覚悟しときなよ?