BAD & BAD【Ⅰ】
「す、すごい……」
思わずポツリ、と呟いてしまった。
さっきまであんなに怖かったのが嘘みたいに、俺はパーカーの人に魅了されていた。
一瞬にして、倒しちゃった……。
すっごい!!
強すぎる!かっこよすぎる!
よく漫画で出てくる、ヒーローのようだ。
「大丈夫か……って、え!?」
「?」
「あ、えっと、……それじゃ」
「あの、助けてくれてありがとうございました!」
パーカーの人は俺の顔を見た途端、なぜか早足でこの場を去ってしまった。
結局、顔見れなかったな。
一体誰だったんだろう。
声は女っぽかったけど、あんなに強いんだから男だよな。
俺も、あの人みたいになりたいな。