BAD & BAD【Ⅰ】
「最後に、君の名前を教えてくれる?」
師匠がそう促すと、皆が私を見つめた。
ごくり、と生唾を飲み込む。
「僕は、円堂幸珀です」
…………あああ!!
うっかり本名を言っちゃった!
なにやってんの、私!!バカじゃないの!?
「円堂、幸珀……?」
師匠の目が見開いていく。
私は師匠だけに意識がいって、気がつかなかった。
副総長も師匠と同様に、私の名前を聞いて少なからず動揺していたことに。
「外見が似てるだけじゃなくて、名前も知り合いと一緒なんて、すごい偶然だ!」
今度は本当にずっこけてしまった。
師匠、ずっとそのままだったら、いつか変なツボを買う羽目になりますよ。
「えっと、高校2年の16です。これからよろしくお願いします」
心にもない言葉を最後に添えて、お辞儀をした。