BAD & BAD【Ⅰ】
「はぁ……。やっぱ助ければよかった」
「僕がパシられるなんて~っ!」
「これじゃあ、あいつの召し使いも同然じゃねぇか。最悪」
「うぅ……」
「どうせ俺らが助けなくてもやっつけてたくせによ」
桃太郎と弘也と剛と真修とたかやんが、揃いも揃って愚痴っていたので、微笑みながら背中を順々にぶっ叩いてやった。
これで元気出た?落ち込むのウザいからやめろ。
私と凛のデートを邪魔した罪もあるんだから、もっとわがままになってやる。
「ねぇ、凛」
「なんだ?」
背中を抑える皆の後方で、凛の服の袖をクイッと引いて、背伸びをする。
凛の耳に唇を近づけた。
「今度は、2人きりでデートし直そうね」
次こそ、誰にも邪魔されずに。
甘い甘いデートを。
凛の耳がうっすらと赤く染まったことに気づいて、柔らかな笑顔を浮かべる。
「2人だけの、約束だよ」