BAD & BAD【Ⅰ】
NINAが、また現れた?
どういうこと?
私だけでなく、皆も噂が聞こえていたようで、ほぼ同時に皆が剛に視線を集わせた。
「ち、違ぇよ!?」
「本当に?」
「違う!俺じゃねえ!」
私が疑いの念を送れば、剛は全力で首を横に振って否定した。
剛じゃないなら。
一体誰が、NINAの名を騙ってるの?
剛の時は、何か大変で物騒なことをしでかしてそうだったから、面白そうと思って様子見していたけれど。
私の知らないところで、知らない人が、知らない目的のために、NINAとして欺いてるのは、
「面白くない」
今までこんなことなかったのに。
数年経った最近になって、どうして。
今回の噂の「NINA」が剛ではないと判明し、興味が薄れた皆の影に紛れて、私だけが形容しがたいわだかまりを覚えていた。
「ちょっと調べてみるか」
嫌な予感が、した。