BAD & BAD【Ⅰ】
呪縛のピリオド
偽NINAの噂は、あっという間に広がった。
嘘か誠か定かではない、新しい噂も続々と流れている。
さすがにしらみつぶしにあたりはしないが、それなりに信ぴょう性の高い順に探っていった。
しかし、一向に偽NINAの手がかりを掴めない。
以前、銀が『食い止めようにも神出鬼没で、情報を掴むのもやっとなんで、対策も立てづらいんっす』と、ボヤいていたっけ。
まさにその通りだ。
剛とは違って、規則性も動機も証拠も標的も、何もない。
いわば、愉快犯。
何が狙いなんだろう。
確かに偽NINAはいる、はずなのに。
噂を頼りに手繰り寄せても、残り香だけ置いて、いなくなっている。
まるで、私を弄んで、楽しんでいるかのように。