BAD & BAD【Ⅰ】
進展しないまま、8月下旬になった。
ストレス発散に徹夜でゲームをしたせいで、寝不足だ。
じめじめした暑さを煙たがりながら、いつものように、たまり場に行く準備を始める。
私は正体がバレても、変装したまま神雷の下っ端をやっている。基本的な一人称は「僕」じゃなく「私」だけど。
理由は、学校での私の評判を落としたくないから!
私が不良だと知られれば高嶺の花の地位が揺らいでしまうし、未だに残ってる“あの日”の噂に尾ひれが追加するのは絶対避けたい。
それに、神雷では男装していた方が居心地いいんだよね。慣れってやつかな。
ダメージジーンズに白のパーカーを着て、髪を後ろでひとつに結んだら、イケメンのできあがり。
今日の私もかっこいいぞ!
朝食を食べた後、「いってきまーす」とあくびまじりに家を出た。
雨が降り出しそうな曇り空を仰ぎつつ、歩いていく。
「なんかいやーな天気だなぁ」