BAD & BAD【Ⅰ】
どうして、あの男性2人の声が、こんなにもクリアに聞こえてくるんだろう。
どくん、と胸騒ぎがした。
「っ、ごめん」
「え?」
「お、おい!幸珀!」
急に走り出した私に、一拍置いて、真修も朔もわけがわからず当惑した。
また振り回されて終わりかもしれない。
偽NINAは、いないかもしれない。
それでも、私の直感が、判断した。
今すぐ行け、と。
信ぴょう性があるかどうかは、わからない。
だけど、南方面にある廃校に現れたことこそが、私を不安にさせた。
あの廃校は、私にトラウマが芽生えた場所だから。