BAD & BAD【Ⅰ】
はーい、という返事の後に、ガチャリ、とドアノブが回る。
開いた扉から姿を現した先生は、訪問相手が私だったことに吃驚した。
『こ、幸珀ちゃん!?』
『こんばんわ、せんせっ』
『こ、こんばんわ。か、髪切ったのね。すごく似合ってるわ』
『えへへ、ありがと!』
ドアスコープも覗かないで開けるなんて、危ないな。
もっと警戒したら?
『こんな時間にどうしたの?どうしてここに?もう外は暗いから早く帰った方が……』
『先生』
質問を露骨にスルーして、営業スマイルで呼ぶ。
『いじめって、しちゃいけないことですよね?』
さあ、始めよう。
ちっぽけな私の、どす黒い復讐を。
『え、ええ、そうよ』
平静を装いながら、偽りだらけの回答をされた。
先生は、嘘つきだね。