BAD & BAD【Ⅰ】
『じゃあ、どうして?』
『え?』
『どうして先生は、いじめたんですか?』
虚を衝かれた先生は、笑顔のままの私を怖がっていた。
『い、いじめたことなんかないわよ?そんなデマ、誰から聞いたの?』
『円堂仁奈』
答えの代わりに情報を付け加えれば、先生の喉からヒュッと薄い息が漏れた。
いくら欺こうとしたって、無駄。
先生の1つ1つの言動が、肯定を示してる。
『な、んで、その名前を……っ』
『もし、私が円堂仁奈の生まれ変わりだと言ったら、先生はどうします?』
笑顔の仮面を付け続ける私に、先生は絶句した。
仁奈さんと同じ苗字、同じ瞳の色、同じ髪の色、同じ髪型。それに、昔のいじめを知っている。
生まれ変わりだと思い込ませるには、十分だった。