BAD & BAD【Ⅰ】
いつの間にか、後ろにいた。
先生からしたら、そうなんだろう。
たった一瞬の動きで、先生はどちらが強いかを悟った。
『いきなり生徒に手を上げようとするなんて、先生さいてーい』
反応がなくて、前方に移って顔を覗く。
先生の顔は真っ青だった。
『……本当に、円堂仁奈、なの?』
『うん』
『なんで、ここに来たの』
『復讐するため』
『っ!?』
ここからが、本番。
楽しい復讐をしよう。
私は扉をバタン、と閉めた。
悲鳴すら発せられない先生と、向かい合う。
『どうして、私をいじめたの?』
一歩近寄れば、一歩退かれた。