BAD & BAD【Ⅰ】
この憎しみをどこにぶつけたらいいんだろう。
「ああああああっ!!」
叫んで、叫んで。
それでも叫び足りなくて。
もう1回、叫ぶ。
いっそ泣いてしまいたい衝動を、こらえた。
泣いてどうする。
泣いたって、気持ちも天気も晴れはしない。
ただ自分が惨めになるだけだ。
「私は、弱くない」
呪文みたいに、自己暗示をする。
さっきは不意打ちの再会で、冷静を欠いたんだ。
本来ならあんな奴にここまで怯えないし、怖くない。
「大丈夫……私は大丈夫!」
自分で自分の両頬をぶっ叩いた。
痛みで、涙が引っ込んだ。