BAD & BAD【Ⅰ】
「んじゃ、洋館に行こうぜ」
「えっ、朔も行くの?」
「送ってやるよ」
心配してくれてるってわかってて、あえて「えー」と嫌がるフリをした。
朔が不機嫌になって、「嘘、嘘。ありがと」と口元を緩めたら、真修が呆れ半分に微笑んだ。
私らしくいたかった。
「さらに雨が強くなったら嫌だから、早く行こっ」
「雨が弱まるまで、朔は洋館で雨宿りしたら?」
「そうだな」
真修の提案に、朔は頷く。
タオルで雨を拒みながら、私達は走り出した。
太陽の光は、まだ、悪い子な私を照らしてはくれない。
たまり場に着くと、扉越しにもかかわらず、盛大に賑やかな声が聞こえてきた。
「相変わらず騒がしいな」
「うん、毎日楽しいよ。ねっ、真修!」
「うるさすぎる時もあるけどね」
私の、大好きな居場所。
どろどろに濁っても、燦々と明るく彩ってくれる。
軽く雨粒を払って、豪華な装飾が施された重厚な扉をおもむろに開けた。
――ギィ……バタン。
【Ⅰ】end
▹▸▹ To be contonued in【Ⅱ】